コーヒーと健康に関しては諸説ありますが、アレルギーの人を除いては総じて”良い”という印象です。しかし、飲食物が本当に健康に良いのかを体感することは非常に困難で、例えば「納豆が体に良い」としていても、納豆の効果をリアルタイムに感じている人なんてほぼいないのではないでしょうか?中には「さつまいも食べだしてから便秘が解消された」といった即時効果を体験する方もいるかとは思いますが、薬ではないのでそんなに激しい効果があってもまた怖いのです。
そんな中、私は非常に貴重な体験をしたので今日はそんな実際のお話をしたいと思います。
コーヒーの焙煎にハマった年
コーヒー摂取量がそれまでの約3倍に増えた
数年前、コーヒーの焙煎にハマりまだしました。ハマりだすと、当然ながら摂取量が増えます。それまではコーヒー好きではあったけど、朝1杯飲む程度。午後からはカフェインを摂らないことにしているのでそれっきりでした。しかし、焙煎にハマりだしてから、午前中だけで1日に3杯は飲むようになりました。単純に約3倍の摂取量になったのです。
それまでの私の健康状態
それまでのわたしの健康状態をまとめます。
- eGRFという腎臓の値がギリギリ
- 血糖値ギリギリ
- コレステロール高め
”ギリギリ”はギリギリセーフです、一応。生活習慣は普通です。運動習慣はありませんが、職業は1日よく動く職種で歩数でいうと平均15000歩。それで運動不足と言われるなら心外だと思うくらい結構動き回ってはいました。食生活も悪くない。ジャンクは好きですが、毎日外食とかでもないし野菜もまあまあ食べます。簡単に言うと生活習慣病というよりは体質(遺伝含め)的に、血糖値やコレステロールは上がりやすく、基本的に代謝は悪く体内に水分をためやすいので、人よりは気をつけないとならないというような感じです。
コーヒー約3倍で腎臓と血糖値は改善、コレステロールは悪化
とはいえ、普段からそこまで健康に神経質になっているわけでもなく、そんなことも忘れてコーヒーにハマっていたわけですが、その年の健康診断で自分的には驚きの結果だったのです。
- eGRFは改善
- 血糖値は改善
- コレステロール爆上がり
何が驚きって、実はこの年仕事内容に変更があって全然動かなくなったので、全部悪化予想だったのに、腎臓の値と血糖値改善!?コレステロールは実は予想通りの悪化で、なんなら思ったより悪化でしたけど・・・
でもすごく違和感がありました。仮に運動不足や食事の影響でコレステロールが爆上がりなら、腎臓や血糖値も悪化しそうなもんなのに。甘いものも好きだし(ほぼ制限なし)そこでふと思ったのです。「もしやコーヒーの影響!?」だって変わったことってそれくらいしかないわけです。そこで論文やらなんやら調べだしました。
コーヒーの健康に関連する論文
論文を読むのは割と得意なので色々読んでみると簡単にはこうです。
- 抗酸化作用があり、腎臓や血糖値に良い影響をもたらす
- ただし、コレステロール値は上げてしまう
この答えにたどり着いた時「私そのまんまやないか!」と思いました。そして深く深く納得したのです。これまで検査結果と自分の習慣でこんなに納得したことはなかったというくらい納得しました。
論文は色々とありますが、無料で読めるものもありますので、英語抵抗なくて興味ある方は是非読んでみてください。
カフェイン消費量と慢性腎臓病による死亡率の関連性
まずこちら。
Caffeine consumption and mortality in chronic kidney disease: a nationally representative analysis
題名だけでも興味をそそります。私が最も恐れているのは慢性腎臓病(CKD)。何よりもクレアチニンやeGRFの値の値が本当に怖い。それが改善したのは本当に驚きでした。いやね、腎臓って一旦悪くなると良くはならないのです。だからeGRFが改善したのは誤差の範囲内かもしれない。でも、やはり一筋の光なわけです。
論文はこのように締めくくられています。
Conclusions. We detected an inverse association between caf- feine consumption and all-cause mortality among participants with CKD.
この一文からわかることは、カフェインの摂取量とCKDによる死亡率が反比例していた。ということで、統計的には関連性を見ているいわゆる相関なので、エビデンスとしては強くはないのですが、それでも嬉しいじゃないの。
コーヒー習慣と生活習慣病
日本語いきましょう!
→コーヒーの習慣的喫飲による生活習慣病予防効果の分子基盤(2020)
割と最近の論文です。この先生がコーヒー好きなんだな〜というのが垣間見えて好きな論文なのですが、”全日本コー ヒー協会から研究助成を受けました”の文言が色々きになることはさておき、利益相反はありませんので。はい。あくまで公平にまとめられた論文ということです。
結局、重要な表は英語なのですが・・・なんでやねん、ほんま。いやね、頭のいい人って日本語と英語一緒に思ってるからね。まあ、いいや。
上から、肥満、アルツハイマー、大腸癌、炎症、白内障への影響をまとめています。色々さんざん難しいことが書いているのですが、嬉しいことにこれらの疾患に良い影響を与えるということです。それも焙煎度に影響されるとのこと。焙煎が進み、クロロゲン酸が分解して生成するピロカテコールが良い影響を及ぼすんですって!なのである程度焙煎度は勧めたほうが効果的ってことですね!
コーヒーとコレステロール
先に言いますとコレステロールは上がります。
→Association between espresso coffee and serum total cholesterol: the Tromsø Study 2015–2016
この論文はエスプレッソの話なのですが、エスプレッソを飲むとコレステロールが上がり、しかも男性のほうが上がりやすいんだそうです。コーヒーの中でエスプレッソが最も脂肪分が多そうなのはなんとなくイメージしやすいかと思います。フィルターにかけると随分減るそうですが(この論文ではないところで見た)、フィルターで抽出してもコーヒーには油を感じますよね。私は感じます。なんとなく弾く感じというか。ベトベトするほどではないのですが、脂っこく弾く感じ。
なのでコレステロールが上がって困ってしまう疾患、心筋梗塞や脳梗塞、その辺の詰まる系の病気に懸念のある方は飲まないほうが良いんでしょうね・・・きっと。
程よく摂取が一番
うだうだ書きましたが、ここに紹介している論文たちは私が身をもって体験した健康診断結果を納得させるものでした。しかし何にしてもそうなのですが摂りすぎもダメなんです。程々に。そしてどうしても体調合わない人も必ずいます。アレルギーの人は絶対にダメです。世の中にはカフェイン中毒なんていう言葉もあるように依存性を唱える人もいるし、本当は体に悪い!と言い切る人もいる。もともこもないことを言うと、万人に効くものも悪いものもない、ということです。
雑な言い方をすれば、自分自身で実験するしかない。そして無難に摂取するのが結局は一番良いのよ。となると1日1〜3杯位かな。
しかし、もし血糖値や腎臓、認知症などを心配されていて、コレステロールはあまり気にしてない方がいましたら、コーヒーを3杯/日飲んでみる計画をしてみてもいいかもしれません。
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